【素朴な疑問・相談室】
(4)

新聞はなぜ「ソフトウエア」と書くのだろう

本掲示は、企業内掲示板 VOX に掲載されたものの転載(一部修正あり)です。

お断り:本欄は、悩める相談者(筆者)が提起する“素朴な疑問”に対して企業内掲示板の読者の方々が解答してくれるという新しい形の相談室の記録です。
 私が抱いた疑問に対し、読者から寄せられた掲示による解答あるいは私宛ての私信による解答などで記録は構成されています。それらを公開するに当たっては、もちろん(企業内掲示の範囲で)公開を可とする承諾を解答者各人から得ました。しかしそれを、この一般向けホームページ上で公開するにはやはり問題があります。そこで解答者の意見は「要旨」とするにとどめました。解答者の生の声をそのまま紹介できないことは残念なことですが、ご了解ください。

 登場人物:


【悩める相談者】

 木下 恂

【相談にのってくれた解答者諸氏】

 Yさん、   Mさん、   Kさん

 Taさん、  Wさん、   Tbさん

 Koさん、  Kaさん、  Tcさん

 Sさん


【相談者の悩み】

 「新聞はなぜ「ソフトウエア」と書くのだろう」


【相談にのってくれた解答者の解答】

 Yさん [解答]

 Mさん [解答]

 Kさん [解答]

 Taさん [解答]

 Wさん [解答]

 Tbさん [解答]


【悩める相談者による追記】 [追記]


 以上6氏による[解答集]を掲示した後に寄せられた、私信による議論参加者の解答を以下に示します。

 Koさん [解答]

 Kaさん [解答]

 Tcさん [解答]

 Sさん [解答]

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【悩める相談者】あぁ、今夜もやっぱり眠れそうにない。熱帯夜だもの、無理もないか。

(終り)

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【お断り】解答文は、読みやすいようにカラム位置などを一部手直ししてあります(明らかな誤字は直しました)。ご容赦ください。
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【素朴な疑問(4)】
 新聞はなぜ「ソフトウエア」と書くのだろう

 新聞は「ソフトウェア」のことを、なぜ「ソフトウア」と書くのだろう。大きな見出しや記事の中で、この“ソフトウエア”という用語が使われているのを見つけると、私は何時も不思議に思うのである。

 “Software”という英語の日本語訳としては、新聞紙上では長らく「ソフトウェア(利用技術)」という風に、かっこ付きの注釈が付けられていた。しかし最近は「ソフトウェア」という用語が定着したためか、この注釈は見られなくなったようである(単に「ソフト」と書かれる場合もある)。そうなって初めて、私は「ェ」が「エ」になっていることに気が付いた(「ェエ?」貴方も知らなかったって?)。これは“(利用技術)”という注釈が付いていた頃からそうなっていたのだろうか。今となっては、もう分からない。

 それにしても、なんで「ウエア」と表記するのだろう。日本語で「ウエア」と書けば、それは着る物(Wear)の意味で使われるのが普通である。ソフトウェアとは、ハードウェアの上に“着せる物”という風に解釈されているのではあるまいか。新聞記者の理解の程度などというものは、多分そのくらいのものなのであろう。

 この「エ」に出くわすと、私は何時も記事の内容から離れて、そういった雑念が頭に浮かんできてしまう。気になって気になって仕方がないのである。コンピュータ関係の雑誌や専門書などでは正しく「ェ」になっているので、それを見つけると何かホッとした気持ちになる。コンピュータのことをよく知っている人は、無神経に「ソフトウエア」などとは決して書かないものである。

 新聞はなぜ「ソフトウエア」と書くのだろう。あぁ、今夜も眠れそうにない。

(終り)

◆私信によるご教示も歓迎します(匿名可)。その場合、掲示板への転載の可否と実名/匿名の別を記入願います(省略時解釈:実名・公表可)。


[Return]




















 
=【解答者(Yさん)】===============================投稿===

RE:新聞はなぜ「ソフトウエア」‥‥‥

 手元にあった「朝日新聞の用語の手引き」をみると
「外来語表記の原則」として「原音で『ウィ、ウェ、ウォ』の音は
『ウイ、ウエ、ウオ』と書く。」となっています。
 他の新聞も同様と思われますがなぜこのように書くかはわかりません。

 外来語表記の原則として
   1.片仮名で書く。
   2.できるだけ原音に近く
   3.同時に読みやすい表記を用いる。
   4.ただし慣用の固定しているものはこれに従う。

 とあるので新聞社の人は「ソフトウェア」よりも「ソフトウエア」
の方が読みやすいと考えているのではないでしょうか。

                      Y

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【悩める相談者】たしかに新聞社の表記規則ではそうなっているようですね。でも、何故なのでしょう。これでは“できるだけ原音に近く”とはなっていないように思えるのですが。

[Return]






















 
=【解答者(Mさん)】============================私信===

コンピューター

新聞は「コンピューター」と書いていますね。自分では「コンピュータ」と書いているのですが。
‥‥以下略‥‥

=======================================================
【悩める相談者】語尾の長音符号の扱いについても色々と規則があるようですね。以前、プログラム言語の日本工業規格(JIS)を作る仕事を手伝っていたときにもよく議論になりました。“計算センター”か“計算センタ”かも同じ範疇に入ると思います。最近は「コンピュータ」が主流であろうと思います。
‥‥以下略‥‥

=======================================================

[Return]






















 
=【解答者(Kさん)】==============================投稿===

RE:新聞はなぜ「ソフトウエア」‥‥‥

 特許出願の明細書にも同じようなことがあります。その理由は、むかし手書きの原稿をタイプ屋さんに外注していたのです。今だったらワープロ屋さんに外注ということになるのでしょうか。そのときタイピストが手書き原稿を見てタイプするわけですが、手書きですから大きい字か小さい字か判別できないことがあるのです。その都度問い合わせていたのでは仕事になりません。
 他に一(イチ)か−(ハイフォン)か判読できない場合も多々あります。特許業界では、タイピストが迷わないように「ーは使わないことにしましょう」という暗黙の約束になっているのです。
 もう一つの大きな理由は、文字一つ違えばそれは別物(意味がまったく違ったり、物が別物を指すことになる)ということになり、非常に恐い業界なのです。私がこの世界に入った当初、「不思議だなあ」と感じた一つです。

 タイピストは原稿が間違っていても間違ったままタイプするのが仕事ですから、すべて作成者の責任なのです。わざと間違えた原稿もありまから(間違いの事例などの文書)当然といえば当然です。

 同じような状況が新聞業界にもあるのではないでしょうか。

                       以上

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【悩める相談者】紛らわしいものは「使わないようにする」という選択が可能だった(余裕のある)時代があったのですね。でも、今では無理でしょう。日本の新聞社は、まだその時代の感覚のままなのではないでしょうか。

[Return]






















 
=【解答者(Taさん)】===============================私信===

  RE: なぜ「ソフトウエア」

新聞とは直接関係ないと考えますが、
思いつくことがあったので、御参考までに送信します。
宜しく御検討願います。

以下のような主旨の文章を大分前(学生時代)に読んだような気がします。
(誰の著作か、どういう論旨での記述か等は思い出せませんが)
−「レクリエイション」は、「レクレーション」となってしまったが、この変化がなければ、日本語として取り扱われるようになることもなかったのではないか。−

言葉は発音しやすくならなければ普及しない。
普及する言葉は原音にとどまれない。
というように考えることもできるのではないでしょうか。

                         −以上−

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【悩める相談者】そうなんです。逆に言えば、こういう変な表記こそが日本語化された変な英語(いわゆるジャパニーズイングリッシュ)を作り出す元凶なのだと思います。

[Return]






















 
=【解答者(Wさん)】=================================私信===

  re:新聞は...

 新聞に限らず出版業界ではきっとその手の外来語に関する表記の規則があるはずで、それは2名の方からの掲示にあるとおりなのでしょう。ただそこで疑問に思うのは、なぜそのような表記方法が採用されたのか、ということです。きっと何か理由があったに違いありません。


 例えば大正・明治生まれの方々なんかで、外来語のカタカナを読むのが苦手な方っていますよね。私の祖母もそうだったんですけど。ああいう人は特に「ァ・ィ・ゥ・ェ・ォ・ャ・ュ・ョ」の入ったカタカナに弱いじゃないですか。

 それから、新聞に限らず印刷物を必ず音読する人もいますよね。たまに電車の中で何かを読む声が聞こえてきたりして、声の方向を見るとそこにはおばあさんが座ってなにかの本を読んでる、とか。ほほえましい光景です。


 そこで私の推測ですが、上に書いた2つの要素を両方とも持っている人、外来語を読むのが苦手かつ音読を常としている人のために「ソフトウエア」は存在していると思うんです。彼らが新聞を読み進めているうちに「ソフトウェア」にたどり着いてしまうと、「そ、そふとうえ....え?」となってしまい、それ以上その文章を読むことができなくなってしまうために、精神の安定を保つことが難しくなります(^^;。幸いまだまだお若い(であろう)木下さんはそんな窮地に追い込まれることもないと思いますし、外国の単語を日本語でできる限り正しく表記することにこだわりを持っているのかもしれませんが、そんな人々も世の中には存在しているのだと暖かい眼で見守ってやって下さい。

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【悩める相談者】“まだまだお若い(であろう)”私めは、実は(気だけは若いが)年寄りなのです。私のような年寄りが夜よく眠れるよう“暖かい眼で見守って”くださることが、特に大切であろうと思いますよ。
 しかしもっと若い世代で、カタカナを読めない世代があったと記憶していますが、違いましたっけ。

[Return]






















 
=【解答者(Tbさん)】================================私信===

 RE:ソフトウェ(エ)ア

はじめまして。
いつも興味深く拝見させて頂いております。

昔から気になって仕方がない事があるので、便乗で質問させて下さい。
それは、
  コンピューター
か 
  コンピュータ
かです。

私自身は入社してからは「コンピュータ」ですが、それ以前はずっと「コンピューター」と記述し、且つ発音してきました。
かつてこの疑問を友人に聞いたところ、
「まぁ電気電子工学系の人はコンピュータで、機械工学系の人はコンピューターって言う人が多いよね」
とのコメントをもらった記憶があります。

気になって仕方がないが、睡眠大好きなので今夜も熟睡だぁ。

                        以上

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【悩める相談者】貴方の友人は正しい。多分、電気電子工学系の人であろうと思います。こういう友人は大切にしましょう。
 私たちが今使っているのは“コンピュータ”であって、断じて“コンピューター”などではありません。そして、その上で使われているのは「ソフトウェア」であって、断じて「ソフトウエア」などではありません、はい。

[Return]






















 
【やっぱり悩める相談者】

 私がなぜこんな些細なことにこだわるのかというと、“ソフトウェア”というのは私の勤める会社の社名の一部になっているからである。よく、社内旅行などで温泉場を訪れると、団体バスで乗り付けた旅館の玄関には仰々しくも華々しくも、大きな黒い看板に白で“歓迎”の印とともに我が社の社名が大書されていたりする。それを見ると、何時も大抵はどこか字が間違っているのである。「東芝ソフトエンジニアリング御一行様」とか、「東芝ソフトウエアエンジニア御一行様」などと書いてある。こんなのはまだいい方で、「東芝ソフトエンジニヤリング御一行様」などと書かれていることもある。
 そういうのを見つけると私は、またかと思い、思わず「ニヤリ」と苦笑いしてしまうのである。

 しかし考えてみれば「ソフトウェア」も「エンジニアリング」も、彼ら旅館経営者にとってはまったく無縁な存在の言葉なのであろう。こんな些細な字の誤りなど「ニヤリ」と笑って見逃してあげるのが武士の情けというものである。

 ところが新聞紙上でこの字を見つけると、旅館経営者に対するのと同じような寛容な気持ちには決してなれない。「ソフトウェア」も「エンジニアリング」も彼らにとっては身近な話題でなければならないはずだ。とても「武士の情け」などとはいっていられないのである。

 こだわる理由はもう一つある。以前「ソフトウェアの法則」という本を書いたとき、夏目漱石「坊っちゃん」の一節を引用したことがあった。間違いのないようにと、私は夏目漱石全集を引っ張り出して詳細に文章をチェックしたのである。そして自信を持って原稿を編集者に渡したのであるが、やはり間違いを指摘されてしまった。編集者が言うには「坊っちゃん」ではなく「坊つちやん」なのだという。信じられぬ気持ちでもう一度本を出して調べて見ると、何と、確かに「坊つちやん」というタイトルになっているではないか。恥ずかしながら私はこれまで夏目漱石の名作の名を誤解していたのであった。同時に、編集者の実力の程を思い知り、ただただ恐れ入ったものである。

 こういう経験を何度かしてくると、人間どうしても正確な表現にこだわらざるを得なくなってくる。であるからして、私にとっては「ェ」と「エ」は大変な違いで、簡単には見逃せない大問題なのである。


 さて、私のこの【素朴な疑問】を掲示板上で読まれたのであろう、S氏が、これが参考になると言って私に「毎日新聞用語集」という辞典をくださった。それを見ると、Yさんが言っているように、確かに『原音で「ウィ、ウェ、ウォ」の音は、「ウイ、ウエ、ウオ」と書く』と記されている。
 しかし、新聞紙上では「ウィンブルドン」というのを実際に見かけたことがあるから、固有名詞は別扱いになっているのであろう。

 たとえば「ウェット」はこの規則では「ウエット」と表記されることになるが、前者では「ウェ」が「ッ」と跳ねるのに対し、後者では「エ」が「ッ」と跳ねることになる。これでは全く違った発音になってしまうではないか(え? 何を言っているのか分からない? 私にも分からない)。

 この新聞社の定めた規則を見ていると、ジャパニーズイングリッシュを作り出しているのは実は彼らではないかと思いたくなる。日本人にとって発音しやすいようにという観点だけで適当に表記法を変えてしまっていると、結局原語とは似て非なるものになってしまうからである。

 我々が常日頃目にしているこういった“ジャパニーズイングリッシュ”は、アメリカへ行って使ってみるとまったく通用しないことが分かる。我々はその事実を実際に体験して初めて愕然とするのである。その結果、アメリカの空港でシカゴへ行きたければ「シコーゴ」と叫べとか、フィラデルフィアへ行きたければ「フルドフィア」と叫べとか、そういう生活の知恵を学ばねばならない羽目になる(これを知らぬととんでもない所へ連れていかれてしまう可能性があるのだ)。更には、マクドナルドへ行きたければ「マクダーナル」と発音する必要があることを承知していないと、とうていビッグマックにはありつけないのである(もっとも、マクドナルドの店が見付からなくても、どうということはないが)。

 このように自分の貧しい英語力を実感するたびに、私は思うのである。この責任は日本のお粗末な英語教育だけにあるのではなく、日本の新聞社が定めた表記規則にもその責任の一端はあるのではないかと。

 ところで、この表記法に関連する問題を、私はここで更に深く掘り下げてみたいと思う。ただ、これ以下に書くことは、私が常日頃尊敬して止まない「ローマ字入力者」(ローマ字入力法を用いている人達)の気分を損ねる可能性なしとしないので、これ以下は「ひらがな入力者」だけが読むことにしてほしい。






 よろしいかな。ひらがな入力者だけですぞ(以下で「彼ら」とは、ローマ字入者のことである)。あなたの後ろから“彼ら”が覗いていないかどうか、もう一度確かめてほしい。よろしいか。

 実は私は、この新聞社の定めた規則は、新聞記者用のワープロを用いてローマ字入力する際の利便を考えて作られたものではないかと疑っている。彼らの用いるローマ字入力法では、

 「ウィ」は「WI」と入力する。
 「ウェ」は「WE」と入力する。
 「ウォ」は「WO」と入力する、と言いたいが、これは「を」または「ヲ」になってしまう。したがって「ォ」だけは単独で入力するしかない。つまり統一的でないのだ。
 「ィ、ェ、ォ」を単独で入力するには(私の周りにいる「彼ら」に教えを請うと)「LI,LE,LO」と入力するのだという。何というお粗末な規則であることか。
 だとすれば、「ウォ」としたければ「ウ」を「U」で作り、ついで「ォ」を「LO」で作らなければならない。「ォ」のときだけはこんな面倒な手順を踏まなければならないとは、何という不統一な入力法であることか。こんな不統一な操作法では、頭の固い新聞記者に覚えさせるのは無理というものである。そこで、できるだけ「ィ、ェ、ォ」を使わないで済ませようと謀議を計ったのではなかろうか。

 彼らが信奉する入力法で「ウィリアムテル」と入力したければ「ULIRIAMUTERU」とキーを叩かねばならないことになる。 ‥‥何? 「ウリリアムテル」だ? そうか、そうか、彼らは「LI」と「RI」をこのように区別して使い分ける技を身に付けていたのか。大変だなぁ、彼らは。日本人は「L」と「R」の発音を区別するのが苦手であるというけれど、その原因はこんなところにあるのかもしれぬ。それにしても彼らは何時もこんな複雑な操作をしていたのか。何と彼らは頭が良い連中であることか。頭の固い私には、到底真似のできぬ技である。

 ローマ字入力は、頭を使うので惚け防止に最適であると主張していた人がいたが、こうやって見るとどうもその説は正しいように思われる。私もそろそろ惚け防止のための手を打たねばならぬ年代になってきているが、だからといってローマ字入力だけはやりたくない。それよりも、自分が惚けているかどうかを自分で判定することが、そもそも可能なのかどうかを疑問に思い、日々思い悩んでいるところである。

【注】私は「ローマ字入力法」をよくは知らないがローマ字入力法にも色々なバリエーションがあるようである。新聞記者用のワープロについても全く知識がない。したがって、これらの指摘はまったくの見当違いかもしれぬ。いや、そうに違いない。許されよ。

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[Return]






















 
=== Koさんからの私信 ===========================

software

木下様、

>> 「新聞はなぜ「ソフトウエア」と書くのだろう」

について、いくつか雑感を・・・。

>>【悩める相談者】たしかに新聞社の表記規則ではそうなって
>>いるようですね。でも、何故なのでしょう。これでは“でき
>>るだけ原音に近く”とはなっていないように思えるのですが。

ここでいう「原音」とは何でしょうか?

 「computer」ならまだ問題はなさそうなのですが、「maker」となると、原音にできるだけ近く書こうとすると「メイカー」になるのでしょうか? それとも「マイカー」になるのでしょうか?
 アメリカなら前者かも知れませんが、オーストラリアでは後者だと思います。

>>【悩める相談者】語尾の長音符号の扱いについても色々と規
>>則があるようですね。以前、プログラム言語の日本工業規格
>>(JIS)を作る仕事を手伝っていたときにもよく議論にな
>>りました。“計算センター”か“計算センタ”かも同じ範疇
>>に入ると思います。最近は「コンピュータ」が主流であろう
>>と思います。

 最近これが気になってしかたがないのです。

 「コンピュータ」・・・ ま、おかしくない。
 「センタ」   ・・・ ちょっと物足りないが、いいかな?
 「レタ」    ・・・ ひょっとして手紙のこと?
 「キ」     ・・・ まさか「鍵」のことじゃないでしょうね?

どれくらいの長さの単語なら語尾の長音記号を落とす傾向があるのでしょうかね?

====== 木下の返信 ====================================

RE:software

 メールをありがとうございました。

 「原音」の定義、これは難しい。原音を決めることよりも難しそうですね。そうですか、オーストラリアではマイカーなんですか。なるほど。
 「レタ」「キ」はいくらなんでも「レター」「キー」ではないでしょうか? 私はまだ「ー」の省略されたのを見たことがありません。大体2〜3文字以下では長音符号を省かないようです。厳密な区分けは知りませんが。

====== 再び、Koさんからの返信 ============================

  RE:software

木下様、

>> 「原音」の定義、これは難しい。原音を決めることよりも
>>難しそうですね。 そうですか、オーストラリアではマイカ
>>ーなんですか。なるほど。

 ともすると、英語(イギリス英語の意)や米語(アメリカ英語の意)の発音を広義の英語での発音と捕らえてしまいがちです。
 そこで、原音の定義が難しいとなると、「原音に忠実な表記」が難しくなるわけですから、「忠実」にやっていられなくなるわけです。(^O^)

 わたしは、国語辞典や外来語辞典を一つに決めて、そこでの表記に従うようにしています。もちろん、それなりにメジャーな辞典です。
 要は、自分の世界の中では統一しておく、ということです。

>> 「レタ」「キ」はいくらなんでも「レター」「キー」では
>>ないでしょうか? 私はまだ「ー」の省略されたのを見たこ
>>とがありません。大体2〜3文字以下では長音符号を省かな
>>いようです。厳密な区分けは知りませんが。

 長音に関するもう一つの議論に「フロッピー」にするのか「フロッピィ」にするのかというのもあります。これも、考え出すと頭が痛くなります。(^^;)

[Return]






















 
===(Kaさんからの私信)===================================

  発音の質問

いきなりの質問、失礼します。
発音と表記の問題ですが、私も東芝に入社してからずっと疑問におもっていたことがあります。それは、なぜ東芝ではDをデェーと発音し、Tをテェーと発音するのかです。DやTを一文字だけ使う分には違和感無いのですが、他のアルファベットと一緒に使うときは他の字は英語読みするのにDとTだけドイツ語読み(他の言語にもあるのかも知れないですが)するのは非常に違和感あります。たとえばTP90は本来ティーピーと読むはずが商品名はテェーピーになっている。極端な例ではNTTをエヌテェーテェーと発音する管理職の方が多い。うーん、不思議だ。まさかわかりやすく発音する為なんて理由じゃないでしょうねー。今はやりの国際化に逆行しているとしか思えないのですが。言葉に厳しい木下さんはいかがお考えでしょうか??


====== 木下の返信 ====================================

  発音の質問(回答)

 ううむ。東芝ではDをデェーと発音し、Tをテェーと発音している、というのは初耳でした。私は今まで「ディー」、「ティー」とそれぞれ発音してきた積もりですが、「TP90は」と言われるとにわかに自信がなくなってきました。
 もしかすると「テーピーキュウジュウ」とか言っていたかもしれません。しかしそれは、私がTP90とは全く関係のない分野を担当していたからであって(要するに無責任なんです)、TP90の担当だったら絶対そんな罰当たりな発音は許さなかったでしょう。

 私の会社の略称(TSE)は「ティーエスイー」であって、決して「テーエスイー」ではありません(念のため)。技術移転を表す意味でよく使われる略語(TT)も「ティーティー」であって、間違っても「テーテー」と発音してはいけません。「テーテー」される技術などに禄なものはありません。

 思うに、人間はその略語の原語の意味やつづりを知っている限り、そんな不届きな発音はしないものと信じます。本来の意味を忘れてしまって、その略語の表面的な理解しかできていないと、途端に無責任で意味不明の発音をするようになるのではないかと愚考します。

(以上)

========(Kaさんからの再度の返信)========================

 発音の質問(回答)(回答)

ご教授感謝します。
そういえば、TSEは、ティーエスイーと発音していました。もしかすると、Dをデー、Tをテーと発音するのは総務・広報関係者のみかもしれません。

[Return]






















 
========(Tcさんからの私信)=================================

  T,D の発音について

初めてメールを差し上げます。
いつも VOX で木下さんの機智に溢れる文章を楽しく読ませていただいてます。

さて、木下さんが【素朴な疑問・解答集】付録に載せていたアルファベットの発音ですが、木下さんは『東芝ではDをデェーと発音し、Tをテェーと発音している、というのは初耳だった』とおっしゃってますが、わたしの所属する事業所では、所長以下全員が それは見事に T(てー)、D(でー)と発音します。(ひらがなで書いた方が より、どん臭さが強調される気がする。(^_^; )

技術移転は『てーてー』ですし、TP90も『てーぴーきゅーじゅー』です。たまに『ティーティー』とか、『ティーピー90』と発音する人に出会ったとしたら、きっとその人はよその事業所から来て、『てーてー』だの『てーぴーきゅーじゅー』なんて言い方にはとてもなじめない! という人でしょう。

わたしも入社したての頃はこの発音になじめず、口にするのにかなり抵抗感がありました。なんでも『ほかの文字との聞き間違いを避けるため、わざとこういう風に発音するんだ』ということを 昔 先輩から聞いたことがあります。

だからこの事業所の技術移転なんてみんな録なものがないんだな、きっと。(^_^;

========= 木下の返信 ================================

  T,D の発音について(回答)

 恐れ入りました。

 やっぱり東芝は広いんですねぇ。前からそうは思っていましたが、その思いを新たにしています。「ティーティー」と発音する人(私めのこと)が移転する技術にも、碌なものがないことをここで証明してしまったようです。

 では。

[Return]






















 
========(Sさんからの私信)==================================

  時期はずれの応答「新聞では...」

・電気系の技術者の多くは、単語末尾の長音記号を省略します。その張本人は、学術用語集だと聞きました。

・電気系の学術用語集では、3音節以上の単語の末尾の長音記号を省略します。「エラー」を「エラ」にしないのがルールです。

・実は、省略する条件がさらにあって、原語で er または or の場合に限るはずです。電気屋も「エネルギー」と書くのがルールです。

ここまでは、私個人の意見ではなく、記憶です。

・私個人は、貴兄のご意見に反して、「ソフトウエア」と表記する方が筋が通ると思っています。ただし、30年前のNHKアナウンサーの発音のように、日本語の発音の枠組みの中へ外来語を取り込んで発音することを前提としています。 カタカナ1文字は、1つの音節を表すべきです。software を6音節で発音するのならば、1人前の大きさのカタカナを6個与えてやって下さい。日本語の発音の中で5音節で発音する人(私はまだそうした人を知りません。日本語の中でも突然に外国語のままの発音をできる某先輩の場合は、2音節相当でしょう)だけが、「ソフトウェア」と表記する合理的根拠を持っていると思います。

                          S

========(木下の返信)===================================

  時期はずれの応答「新聞では...」(回答)

 メール、ありがとうございました。

 長音についてのルールは、確かにそのとおりになっているようですね。

しかし、知っていてもなかなか実践できないのがこの種のルールの特徴でありまして、「アナウンサー(announcer)」は「アナウンサ」とするのが正しいのでしょうか。

 原語のつづりを知っていないと、滅多なことではカナ表記が書けなくなりそうです。

 「1つの音節には、1人前の大きさのカタカナを与えるべし」という主張は大変に面白い。同感はできませんが。

 ところで、Sさんは常日頃から「ハードウエア」とつづっているのですか。知らなかった、知らなかった。

 では。

========(Sさんの返信*2)==================================

  時期はずれの応答「新聞では...」(回答)(回答)

説明不十分でした。

私の個人の意見に関係なく、世間の標準に従って、「ソフトウェア」と自分でも書きます。標準が明確でない場合は、極力自分の意見に従って、例えば「ベジエ曲線」と書きます。

========(木下の返信*3)=================================

  時期はずれの応答「新聞では...」(回答)(回答)(回答)

 分かりました。

 そういえば、昨夜新聞を読んでいたら「ヒット・アンド・アウエー戦法」という言葉に出くわしました。多分、“hit and away”のことだと思うのですが、「ウエ」といい「ー」といい、新聞の規則にまさしく則っていることが分かります。しかし、これでいいのかなぁとも思います。これ、Sさんの流儀でいくと何音節とみなすのでしょう。

 これを見て、「ア」と驚き、「ウエー」となったのは、私だけではないと思うのですが‥‥‥。

========(Sさんの返信*4)===================================

 時期はずれの応答「新聞では...」(回答)(回答)(回答)(回答)

なるほど。

こうした問題は、結局、本来高次元で連続的なもの(外国語の発音)をどう区切ってディジタル表現(カナ書き)するかという問題だと思いますので、ルールをどう作っても例外がみつかるという類の問題ではないでしょうか。

たとえば、英文の中に出てくるアフリカの地名、人名では、'N'で始まるものがありますが、日本語の枠組みに入れて発音するときにどう変えるか、かなり恣意的な問題だと思います。

したがって、なるべく規制緩和して、市場原理で決めて行く方が良いのかも知れません。

hit and away の件、私が自分の好みでカナ書きすれば、「ヒット・アンド・アウェー」とするでしょう。これは、電気系のカナ書きルールにも合っていると思います。

[Return]