=【解答者(Yさん)】============================私信===
re:プログラマはなぜ無口?(転載・実名可)
プログラマの人を見ていると面白い。モニターの前でしかめっ面をしたり、口をとがらせて「ん〜」とか「なんでだぁ」とかつぶやいたり、思いっきりエンターキーを叩いて、数秒後に「オッシャー!」とかやはり小声で叫んでニコニコしたり、なんだかコンピューターと話をしているみたいに見えます。
でも、プログラミングというのは詰まるところ論理構築の作業な訳ですから、徹頭徹尾自分の頭の中だけの作業というか、どんなにプログラマーの人が何かをつぶやいていたとしても、それはコミュニケーションではなくて、独り言なんですね。
毎日10時間くらい、何年間も独り言の作業を仕事としている人が、無口というか没コミュニケーションな人柄になるのは自然だと思います。ですから無口なプログラマの人に会ったら、ああこの人は今までまじめに仕事をしてきた人なんだなと思いましょう。
木下『無口で口の重いプログラマの作るプログラムには、往々にして万人を納得させ得る素晴らしい物があることをこの際是非知ってほしいのである。それを持って行ってお客様を納得させることの方が、はるかに本質的な解決策になっていると思うのだが。』
大作家とパトロン、技術屋と営業マン、ボケとツッコミ....などなど、やはり人は自分に無い能力を持つ人と支え合って仕事をするのが成功の秘訣でしょう。 無口でも優秀なプログラマと、話のうまいSEの2人組でいけば、こじれたユーザーとの話も即解決! 出張経費が2人分かかるなんてこと心配するより、この方がベターですよね。
Y
===追伸===
蛇足:
優秀なプログラマは無口だが、実は独り言が多い
→家に帰っても独り言が多い
→夜も眠れないほど独り言が多い
→頭が混乱してきたので独り言を整理するためにワープロに打ち出す
→出来上がると論理の検証の為に掲示板に張り出して身内の評を仰ぐ
→それが習慣になって文章化された独り言がたまる
→たまった「独り言集」が文庫本になる
かの有名な何とかの法則の本はこうして出来上がった....のかも。
Y
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【悩める相談者】やゃ、‥‥どうなることかと思ったら、そういうことでしたか。私めを、無口な男とみておられるようで。悔しいけれど、当たっています。
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=【解答者(Tkさん)】===============================私信===
re:プログラマはなぜ無口なのか
“無口”について、私の経験を記してみようと思います。
久しぶりに新人の採用活動で大学を訪問したときのことです。数学科の教授の部屋で一通りの会社説明を済ませ、後は教授との雑談となりました。こういう時、少しでも先生の印象に残るようにして企業名を覚えてもらうのが大切なので、色々と雑談をして話に花を咲かせる必要があるのです。私は、こういうとき本棚に並べられた本をざっと見て先生の専門分野の話をしたり、パソコンを使っておられたらどんなソフトウェアを使っているかとか、壁に貼ってあるものなどから先生の興味の対象に話をもっていくようにしています。このときもそういう作戦で結構うまくいきました。
かなり打ち解けてきた頃に、先生は「最近は数学科を出ても、就職して何をしたらよいか分からない学生が多い」と言うのです。各大学の数学科ではこの点が問題になっており、先生方で集まって研究会を開いたり議論したりしているのだそうです。企業の人を呼んで話をしてもらったりもしているとのことでした。あぁ、そういえば東芝さんからは確かEさんという方に来てもらってしゃべってもらいましたよ。何だ、E氏ならよく知っていますよ。彼は無口とは正反対の性格だから、また彼一流の大風呂敷をひろげたことでしよう、‥‥などと話し合ったのでした。そして、最後に先生は「最近の学生はおとなしくて‥‥」とこぼすのでした。もしかすると、E氏の饒舌さに比べて‥‥そう思ったのかもしれません(断っておきますが、これは“もしかすると”ですよ)。
私はすかさず「おとなしい人でもいいですから、適当な人がいたら是非紹介してください」と言ったのです。すると先生は「これは、不思議なことを言う」という顔をされるのでした。なんでも、先生が言われるには、最近はおとなしくて無口な学生が多く企業の人からは苦情を言われるのだそうです。企業の採用担当の人からは「無口な人はもうこりごりです」とまで言われたとか。
私はそこで、優秀なプログラマの中には結構おとなしくて無口な人が多いことを説明したのです。そして、こうも言い添えました。無口な人にも2種類あって、内容がなくて無口なのと(普段色々と思索し、しっかりした考えを持っているけれど不必要なことは発言しない)内容のある無口な人とが存在するのではないかと言ったのです。先生は、なるほどという顔をされていましたが、もはや気持ちはそこにはなく、おとなしくて無口な学生の顔をあれやこれやと思い浮かべている風でした。そこで私も、頃合いだなと思い席を立ったのでした。
先生には言いませんでしたが、男のおしゃべりなのはいけません。おしゃべりはプログラマには向いていないと思うのです。やはり、無口でも内容のある無口の方がいいですよね。
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【悩める相談者の告白】なるほど、なるほど。まったく同感ですなぁ。
え? なぜ同感か? だって、“Tkさん”というのは、実は私めのことだからです(すみません。投稿者が少ないので、つい自作自演となってしまいました)。
やはり、Oさんの指摘されたようにプログラマは無口な人が多いから、反応も少なかったのでしょう。しかしこの素朴な疑問は、私にとっては大問題なのです。
私は最近真剣に心配しているのです。どうして当社のソフトウェア技術者はこんなにもおとなしい人ばかりなのかと。会社幹部との懇談の席などでも、一向に発言してくれないので、端で見ていてハラハラしてしまいます。内容のある無口ならいいのですが。
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【素朴な疑問・解答集】付録
【素朴な疑問・解答集】「なぜ無口なのか」(11/18 掲示)を公開後に寄せられた私信を(本人の了解を得て)公開します。
=== Tyさんからの私信 =================================
RE:無口なプログラマ・・・。
こんにちは。
木下さんの「自作自演」に思わず涙がでてしまったので、稚拙ながら小生(社内での位置づけ的には極めてSEよりのプログラマといった所でしょうか?)の愚考をお送りします。
まず、「無口なプログラマは往々にして優秀である。」ですが、これについては個人的に多少疑問に思います。
本定義が真なのは、対象のプログラムの規模がさほど大きくなく、作成するプログラマで自己完結できる場合ではないでしょうか?(例えばちょっとしたツールとかデバイスドライバとか)
近頃は何でもソフトウェアで制御するようになってきている様に感じられ、その為かソフトウェアの規模がすごく大きくなっているように思えます。こういった大規模ソフトウェアの開発は、当然個人で作成する事はできませんから、機能毎にチームに分けて開発する事になるのはご存じの通りです。上記の様な開発体制をとった場合、他チームとの機能分解点は例えばI/F仕様等で定めるのが一般的と思います。
全てがうまく進めば何ら問題ないのですが、開発がある程度進むと(或いは総合試験の段階になって!)、必ずといってよいほど、この「他チームとの機能分解点」絡みで不具合が発生するのもご存じの通りです。こういった事態になった際、関係するチーム同士で、「それはウチじゃない!」的な事になって先に進まなくなってしまう事ってありませんか?責任の所在を明確にする事は重要と思いますが、近頃そこで(自分じゃないと確認した時点で)思考を止めてしまい、「ではどうしたら良いか」の方向に進まない人が多くなってきている様で、ちょっと気になります。(皆さん忙しすぎて他の事にかまってられない??)物事はなんでも「自分の事だけやっていれば良い」というわけでは無いでしょう。昨今、互いに接点をカバーし合うようなカルチャーが欠落しているような気がして心配です。(物事はなんでもアステカかどっかの石垣みたいに、紙も入らない程隙間無く結合している訳ではないでしょうから、互いにベン図の重なり部分をもたなくてはうまくいくものも行かなくなってしまうと思います。そういった意味からも、プログラマにとってコミュニケーション能力は重要であると考えます。また、何でもソフト仕掛けになってきている昨今、SEとプログラマの差分が不明確になってきているようにも思え、今後はプログラマも饒舌とは行かぬまでも「!=無口」である必要があるように感じます。
<補足>
プログラマは、
B=1;
A=B+1;
である時、Aが2である事を人間相手にも求めてしまっていて、その為基本的なものを見失ってしまっているのではないでしょうか?
ここまで書いてきて気が付いてしまいました。優秀なプログラマはたいてい頭脳明晰な人が多いですから、「ゴチャゴチャ言わなくてもわかるよネ!」って事で無口なのかもしれません。
駄文失礼しました。
=== まだ悩んでいる相談者 =================================
確かに大きなプログラムでは、設計上色々な人と折衝する必要もでてくるでしょうね。しかし私はプログラムの大きさというより自己完結型であるか否かではないかと思います。私が昔かかわっていたコンパイラ作りなどは、ものすごい大きさのプログラムでしたが、小人数で黙々と作業していましたよ。無口なプログラマであった私には最適の仕事でした。
しかし無口な私でも、色々と努力して人並みには自説を主張できるようになってきました。何事も修練だと思います。最近はそれが足りないのではないかと思うことが多いのです。電子メール文化の発達が影響しているのでしょうか。
(終り)
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【お断り】字句は一部直させてもらいました。ご容赦ください。
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【素朴な疑問・解答集】付録2
【素朴な疑問・解答集】「なぜ無口なのか」を公開(11/18 掲示,11/21 付録掲示)後に寄せられた私信を(本人の了解を得て)公開します。
=== Yaさんからの私信 =================================
VOX「無口なプログラマー」について
掲示板の件について、愚見を述べさせていただきます。
プログラマーが無口になるのは、マラソンランナーがやせているのと同じく、そういう人間の方が有利であり、また、自然とそうなるものだと思われます。
マラソンランナーは当然、重い人間より軽い人間の方が有利です(米国では体重による階級を設けたマラソン大会もあるとのことです)。したがって、太った人がマラソンランナーになることはありませんし(挑戦することはある)、またランナーは太らないように自己管理します(するらしいです)。
これに対してプログラマーは、「自分と機械」という閉じた世界に意識を向けやすい人間が有利であり、また、自然とそうなってきます。
しかし、これは必ずしも良い傾向ではありません。プログラマーの中には見るからに頭の回転のよさそうな人もいますが、一方では病的な状態におちいる人もみえます。数年前のニュースによれば米国では自閉症のごとき患者が発生しているとのことです。
また、コンピュータそのものに親近感をいだき、大人の目でコンピュータを見られない人も少なくありません。
小生愚考しますに、このような人たちには周囲から「話しかける」というアクションが必要です。
無口になったプログラマーは、おそらく自分から話し掛けることが下手になっています。実際におどおどした話し方をする人がいたので、気のついた時に話し掛けるように心がけたところ、最近では気のきいたジョークをとばしてくれるようになりました。
無口なプログラマーには、「でかい声の隣人」が必要です。
以 上
=== まだ悩んでいる相談者 =================================
“無口なプログラマ”に関する「Ya説」を紹介しました。
Ya説による「プログラマのマラソンランナー仮説」に従えば、私のような声のでかい者は、もはやプログラマには向いていないことになる。新たな悩みが増えたようである。そういえば、最近白髪もめっきり増えてきた。
(終り)
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【お断り】解答文は、読みやすいようにカラム位置を調整してあります。ご容赦ください。
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