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“工事中”という言葉の意味は何なのだろう?
多摩川の河原をジョーク(jog+walk)していると、登戸の辺りで橋の架け替え工事をやっている。そのため、サイクリングなどのスポーツをする人には通行の邪魔になり長らく不便をしていた。だが、片側車線が完成したところで現在は工事を休止している。来期の予算が付くのを待っているのかもしれない。しかし相変わらず「工事中」の標識だけは出ている。
一般道路でも年度末などになると予算を消化するためか道路工事がやたらと多くなり「工事中」のところが増えるのはよく知られた風景である。一方、インターネットやイントラネット上のホームページでも最近やたらとこの「工事中」の札が目立つようになってきた。数ヶ月してからまた覗いてみても、やはり「工事中」のままである。なにやら大層な大工事をやらかしているものとみえる。
私は思うのである。どうも最近「工事中」という言葉の意味が変わってきたのではないか。そう思いながら各種のホームページをウェッブしてみて、この疑問は確信へと変わってきた。当分作る気はないが作る姿勢だけは示しておこう、というような場合に意識的に使われているような気がするのだ。
例の評判の高い『新明解・国語辞典』で調べてみたが、そんな説明はどこにも出ていない。そもそも「工事中」などという語は載っていないのである。「工事中」の意味が、私や辞書編纂者の知らない間に変わってしまったものとみえる。『新明解・国語辞典』の編者に、こっそり教えてあげた方がいいのだろうか。あぁ、今夜も眠れそうにない。■
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