続・素朴な疑問
(14)

日本語の用語はなぜあのようにお粗末なのだろう?

 Web上の社内情報誌を編集していると、いろいろなブラウザを使わなければならない。普段使い慣れているブラウザでうまく表示されていても必ずしも安心はできないのだ。別のブラウザを使うと表示に不都合が生じていることがままあるからである。

 普段私はN社のものを用いているが、そのときだけはM社のものも利用して全体をチェックすることにしている。だが、決してM社のものを常時利用しようとは思わない。なぜなら、M社のものを利用すると[お気に入り]などという変な日本語表示に出くわすことがあるからだ。何だ?これは。

 これは多分“My Favorites”の訳に違いない。私は別にその参照先が「お気に入り」だからアドレスをマークしたい訳ではない。ただ、次に再び参照するときに長い長いアドレスをもう一度入力するのが面倒くさいから BookMark を付けて一時記憶しておきたいだけのことである。しかしそれにしても、何というお粗末な訳であることか。「お気に入り」を見ると私はげんなりとしてしまって、二度と再びこのブラウザは使うまいと思ってしまうのである。

 Windowsで使われている日本語の用語はなぜあのようにお粗末なのだろう。そしてまた、あのようなお粗末な表記のソフトを毎日平気で使っている人は、一体これをどう考えているのだろうと思い悩んでしまうのである。あぁ、今夜も眠れそうにない。■


【ホームページの読者からの解答】

 Wさんからの[解答](本人の了解があったので掲示します)。









































 


=【解答者(Wさん)】================================私信=

日本語の用語はなぜあのようにお粗末なのだろう?:意見

はじめまして,木下様.

 さて,さっそくですが,続・素朴な疑問(14)の,「日本語の用語はなぜあのようにお粗末なのだろう?」について,個人的ながら意見を述べさせていただきたいと思います.

 私も,木下様のご意見には納得します.私も同じ事を思い,「お気に入り」フォルダを一度も使用したことがありません.ですが,新たに参照するのは確かに煩わしいので,私はハードディスクに1枚Htmlを作成し,それをブラウザのスタートページに設定し,そのHtmlに参照回数の多いページへのリンクを貼っております.ですが,リンクを増やす作業が煩わしいのは確かです.私のようなことをするのは,よほどリンクが増えない人か,それとも私のようにHtmlをいじるのを楽しんでいるような人のみでしょう.

 Windows3.1の時もそうでした.例えば,コントロールメニューの,「アプリケーションの切り替え...」などと言うコマンドです.英語環境ではこれが「Switch To...」となっていたようで,いかに日本語が長くて邪魔かわかります.640*480の解像度では,メニューを出すとほとんど画面が隠れてしまって非常に邪魔だったものです.これを解決するために,日本語のこのメニューを「切り替え...」に変更してしまうようなシェアウェアまであったということも聞きます.

 ですが,もともと英語環境で育ったコンピュータを,日本語も使えるように変更するのに一体どれだけの苦労があったのでしょうか.いまだ日本語(や英語以外の外国語)に関してのコード体系は問題を抱えているようです.使う立場ではなく,作る(変更する)立場に立ってみる必要もあるのではないでしょうか.

 では,「Switch To...」はどのように訳すべきでしょうか.直訳すれば「切り替え...」とするのはもっとものような気がします.ですが,きっとこれを訳す人は思ったでしょう.一体何の「切り替え」なんだ?と.「アプリケーションの切り替え...」にした理由もわかると言うものです.しかしこれは,知らない人々にとってはありがたい表記であったかもしれませんが,わかりきった人には煩わしいものとなってしまったわけです.

 さて,次は問題の「My Favorits」を訳してみましょう.「私のお気に入り」でしょうか.しかし,「私の」は分かりきったことですから,それを省略して「お気に入り」にしたというのも分かるというものです.しかしこれでは何をするメニューかわかりづらいということがあるかもしれませんから,機能面から意訳しようとしたかもしれません.「よく参照するページ」「多く参照するページ」などでしょうか.さあ,どれを選びましょうか? 結果的には短い「お気に入り」を選んだようですが,これはきっと「Switch To...」の時の失敗を活かした結果に違いありません.

 訳というのはどうやら非常に難しいもののようです.それどころか,日本語と言う言語自体あまりきれいなものとは思えません.英語は主語・動詞・目的語(など)と言う語順です.隣国の中国もそうです.なのに,日本語は違います.動詞が後ろへ来てしまうのです.英語では,大切な部分,つまり強調したいものを前へ持ってこようとする性質があります.しかし日本語は違います.なにかと重要なものを後ろへ持って行きたがります.文末に否定がつくかつかないかで,文自体の意味がひっくり返ってしまうこともあるわけです.喋りかけている途中で,何らかの理由によりその人が喋ることができなくなってしまった場合,重要なことは伝えそびれてしまうわけです.英語はそれを避けようとし,日本語はそれを楽しんでいるかのようにも見えます.

 日本語についてはもう少し文句があります.フォントが汚いような気がするのです.縦長のアルファベット表記に比べ,なにかと冗長なのです.これを解決するために,最近「MS UI Gothic」なるフォントが開発されたようですが,これはまた,カタカナはいいとしてもひらがなが情けないと思うのです.しかも漢字は変わっていないためにかなまじりだとさらに不思議な感じです.これがゆえに,私のデスクトップのアイコンやスタートメニューなどはすべてアルファベット表記にしています.

 日本語についての文句を色々と言いましたが,しかし私は生まれてからずっと日本語を使っておりまして,なかなか捨てることはできません.私は英語が苦手なのです.Windowsも,英語版のほうが動作が速いなどという噂もあります.しかし英語が読めないのでは英語版を買うわけにもいきません.あぁ,アメリカ軍は日本を降伏させた時,なぜ日本人に英語を使わせなかったのでしょうか.確かに,日本はそういったことをしてきたがために嫌われていたのですが……

 それでは,私の意見をこれにて終わらせていただきます.

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