続・素朴な疑問
(21)

人はなぜ“W杯”を「ワールドカップ」と読めるのだろう

 サッカーのワールドカップで世間は熱狂している。日本チームの敗退で少しは熱がおさまるかと思ったが相変わらずTVの前に釘付けの毎日である(私も含めてのことだが)。新聞誌上ではスポーツ欄ばかりでなく、どのページでも“W杯”の文字が躍っている。“W杯”と書いて「ワールドカップ」と読むのだそうである。

 新聞等を読んでいて“W杯”の文字が出てくると、私はどうしても「ダブリュはい」と読んでしまう(もちろん黙読でですよ)。そして、あっこれは「ワールドカップ」と読むのだったと思い出す。しかし次に再び“W杯”の文字に出会うとまたまた「ダブリュはい」と読んでしまうのである。それを何度も繰り返しているうちに、私はこれはどう考えても“W杯”(ほらほら、あなたも「ダブリュはい」と読んでいるじゃありませんか)を「ワールドカップ」と読ませるのには無理があると思うようになってきた。そもそも「杯」と書いてこれを「カップ」と読ませること自体がおかしいのである。

 “World Cup”を単純に略すと“WC”(*1)となるが、不幸にして日本の慣習では“WC”と略す訳にはいかない何らかの事情があったのであろう(なぜかはここでは深く追求しないが)。
 何事も四文字言葉にしてしまうことの好きな国民が、なぜ「ダブリュハイ」(*2)ではなく「ワールドカップ」でよしとしているのか、どうにも理解に苦しむところである。

 人はなぜ“W杯”を「ワールドカップ」と素直に読めるのだろう。あぁ、今夜も眠れそうにない。■
【注】(*1)同様の略称の例としては以下のようなものがある。
    ア杯:アジアカップ‥‥サッカー
    イ杯:イタリアンカップ‥‥サッカー
    デ杯:デービスカップ‥‥テニス
    ユ杯:ユーバー杯‥‥バドミントン
    エ杯:エリザベス女王杯‥‥競馬
    W杯:ワールドカップ‥‥野球、ラグビー、サッカー
   なぜ“ワ杯”としなかったのか、わが輩には分からない。

【注】(*2)「ダブ」「リュ」「ハ」「イ」の方が四文字言葉に近いではないか。