(24)帯状疱疹

(24-1)帯状疱疹
松井宏夫さんによる解説:【音声ボタン削除

  帯状疱疹
  ・帯状疱疹とは、皮膚に痛みをともなって赤い水ぶくれ疱疹が
   帯状に現れる皮膚の病気
  ・発症年齢は50歳以上が7割を占めるなど、誰でも罹る可能性
   がある
  ・早めに対処しないと重症化して痛みがずっと残ってしまう恐
   れもある
  ・そんな帯状疱疹について、以前から使われていた薬に加えて
   2年前に新しい薬も登場した
  ・帯状疱疹の治療や予防方法についてとりあげる

  痛み
  ・つらいのは痛み、痛みは千差万別で中には痛みではなく
   かゆい、しびれると言う人もいる
  ・多くの患者は痛みで眠れない。衣類がふれるだけで痛い。激
   しい痛みに襲われて日常生活に大きな影響を与えることがあ
   る
  ・その原因は水痘ウイルスである
  ・水痘(すいとう)ウイルスと呼ばれている
  ・一般にはみずぼうそうと言うが、多くの人が5歳くらいまで
   に一度は感染している
  ・発症して治ってもウイルスのすべてが死滅している訳ではな
   い
  ・生き残ったウイルスはその後身体の中の奥深いところの神経
   節に潜伏し続けている
  ・このウイルスに対する免疫力が落ちると体の中に潜んでいた
   ウイルスが活動を再開する。そして帯状疱疹を発症する

  発症する年齢
  ・発症を年齢別に見ると高齢者の頻度がグンと高い
  ・発症する人の7割は 50代以上の人
  ・具体的に言うと50代から90代が多い
  ・特に発症頻度のピークとなるのは 60代, 70代, 80代
  ・人生100年時代とあって 50歳以上が多くなっている

  症状
  ・帯状疱疹の症状はピリピリした痛み、激しい痛みを自覚する
  ・痛みの程度は人によりまちまち
  ・顔面では角膜炎、結膜炎、まれに耳鳴りや難聴、顔面神経麻
   痺などを起こすことがある
  ・4-5日すると痛みを感じた皮膚に赤い斑点が帯状に神経の流れ
   に沿って出てくる
  ・その上に水ぶくれが出てきて 2日後くらいには大きな水疱が
   出てくることになる
  ・このように帯状疱疹というのは1-2日で大きく症状が変化する
  ・身体に帯状に広がった水ぶくれは、やがて膿を持ち1週間ほど
   で破れて潰瘍ができる
  ・更に1週間でかさぶたになり、発症後3-4週間で治る
   この様な経過をたどる
  ・時に、非常に重症化したときは痛みも激烈になり入院して治
   療することになる
  ・このようなケースでは、痛みが残ることがしばしばあるので
   帯状疱疹後神経痛となる
  ・痛みが長く続き、半年とか1年、中には一生痛みと共存する
   こともある
  ・このように重症化しないためにも早期に治療する必要がある

  治療法
  ・治療は抗ウイルス薬を使う。飲み薬、塗り薬、点滴などの形
   態がいろいろあるが
  ・飲み薬が一般的
  ・長く良い薬がなかったが2000年から良い薬が登場しそこから
   治療が大きく進化した(患者には楽になった)
  ・帯状疱疹の薬は〇〇シクロビル(後ろにシクロビルが付く)と
   いう名前
  ・これはウイルスに対する作用機能が同じという意味
  ・2000年には、
   アシクロビル、バラシクロビル。これらは水痘、帯状疱疹ウ
   イルスの増殖を押さえる働きがある
  ・更にファムシクロビルという抗ウイルス薬も発売された
  ・バラシクロビルとともに帯状疱疹治療の第一選択薬として推
   奨されている
  ・ただし、アシクロビル、バラシクロビル、ファムシクロビル
   は腎臓に影響がある
  ・加齢、病気で腎臓の機能が低下している人には量を減らす必
   要がある
  ・減らすと適量でなくなるので効果は十分に得られないディメ
   リットがあった
  ・そこで、2年まえに登場したのがアメナメビル。これはアシ
   クロビルとは異なった作用でウイルスの増殖を抑える薬で、
   腎臓の機能が低下していても薬の量を減らす必要がない
  ・また、これまでの薬は1日3回(朝昼晩)飲む必要があったが、
   1日1回飲むだけで一日中抗ウイルス作用が持続する
  ・患者の負担も軽減され飲み忘れもなくなると期待されている

  予防法
  ・帯状疱疹を防ぐ良い薬がでてきたが、予防法も進んでいる
  ・ワクチン接種をする
  ・小児水痘ワクチンの定期接種が始まった 2014年10月から
  ・その結果、水疱瘡の患者が大幅に減った
  ・ただし、小児水痘ワクチンによって患者が激減したのでそこ
   から大人が感染する機会が減った
  ・それによって、ウイルスを浴びて細胞性免疫をアップさせる
   機会が得られなくなり
  ・帯状疱疹の患者が実は増加してきている
  ・家族関係も核家族化して高齢者が高齢者だけで暮らすのが細
   胞性免疫をアップ機会を減らした
  ・こうした中、高齢者へのワクチン接種の有効性が指摘されて
   いる
  ・歳を取ってからの帯状疱疹は思いのほか激しい痛みに苦労さ
   せられることが少なくない。それが高齢化が進む中、課題と
   なってきた
  ・帯状疱疹にならない、なっても激しい痛みのない健やかな毎
   日を送れるよう
  ・50歳以上の方には、帯状疱疹の予防ワクチンが2016年から
   接種できるようになった
  ・ただ、費用は自己負担
  ・自治体によっては公費で補助するところもある

  接種のすすめ
  ・帯状疱疹になりやすく、痛みに悩まされる可能性の高い60歳
   以上の方には、専門医は接種をすすめている
  ・命の危険があったりインフルエンザのように大流行するもの
   ではないが、予防接種するかどうかは、一つの選択肢として
   自分自身で考えて決めてほしい