(31-1)新型コロナウイルスの最新事情
松井宏夫さんによる解説:【音声ボタン削除】
新型コロナウイルスの現状
・WHO(世界保健機関)は、3/11日新型コロナウイルスはタン
デミックと言うと表明した
・世界各国に全力で感染拡大を抑制するよう求めた
・そこで重要なのは治療薬や予防ワクチンの開発
・現状はこれまでに使われている既存の薬の応用が進んでいる
これが最も近道だから
治療薬について
・先ず治療薬について
・厚生労働省は、一部の医療機関で3つの薬の試用研究を開始
した
・ここで3つの薬とはアビガン、カレトラ、レムデシビル
・これが現在では最も有望な薬と期待されている
・全てが使われている訳ではない
(1)アビガン
・これは抗インフルエンザ薬である。医薬品メーカー富士フィ
ルム富山化学が開発し国が新型インフルの流行のために備蓄
している特殊な治療薬。一般に流通はしていない
・現在、国は2百万人分の備蓄を持っていてタミフル等の既存
のインフル薬が効かないような新型のインフルエンザウイル
スが流行したとき初めて投与を開始を検討することになって
いる
・なぜこの薬が新型コロナウイルスに対して有効だと考えられ
るのかと言うと、ウイルスを増殖させる酵素を阻害する仕組
みがある。これが新型コロナウイルスにも適用できると期待
されている
・臨床研究が進められている
(2)カレトラ
・抗HIV薬で2000年にエイズの治療薬として承認されている。
ウイルスの増殖を抑える薬
・サーズやマーズに有効ではないかと言われていた
・中国でも臨床試験がスタートした
・日本でも一部で使われている
・既に承認薬なので効果が確認されれば患者への投与には時間
がかからない
(3)レムデシビル
・エボラ出血熱の治療薬
・ウイルス増殖の抑制効果がある
・アメリカでは、最初の患者に投与して効果があった
・この薬の製薬会社ギリヤドは4月には結果を出すと言っている
・日本でも一部で使われている
(4)その他、効果があった既存薬
・喘息治療の薬が役立った。喘息吸入用のステロイド薬チクレ
ソニドという薬
・新型コロナウイルスの肺炎患者の症状改善に役立った
・国立感染症学会で神奈川県の病院の症例を報告
・肺炎の65歳以上の患者3人にチクレソニドを使った。いずれ
も酸素吸入を行っている患者へ2日程度で改善し、73歳の女
性はそのまま退院した
・国立感染症研究所は肺の炎症を抑える効果が期待できると報
告している
・しかし3つの症例にとどまっている。これから更に見ていく
必要がある
・3例だけで3例ともうまくいっているので、かなり期待できる
のではないか
新薬の開発は
・武田薬品工業が新しい感染症の治療薬の開発を始めたと発表
・順調に進めば最速で9か月後市場投入を目指す
・治った患者の血液から抗体を採取して新薬を作る
・9か月から18か月で治験を終える計画
・既存の治療薬の応用でない薬の新規開発を始めるのは武田が
初めて
新しいワクチンは
・バイオベンチャーのアンジェス
・大阪大学と共同でDNAワクチンの製造に着手すると発表
・具体的には体内で抗体を作り出してウイルスを排除するもの
で大量生産が可能
・その他
・田辺三菱製薬がワクチン開発をすると発表
・カナダで8月までには人での臨床試験を開始する
・アメリカでは、
・マサチューセッツ州のモデルガというバイオテクノロジー企
業がワクチンの初期開発を終え、アメリカの国立アレルギー
感染症研究所に臨床試験のためのワクチンを提出したと発表
・臨床試験は普通は4-5年掛かる
・今回は緊急性を要しているので柔軟に対応するだろう
・アメリカの軍も開発を進めている
・メリーランド州の軍施設でワクチンの開発が進められている
・これから数ヶ月かけて結果を待つ
当面は自己防衛
・臨床試験には、かなりの期間が掛かる
・それまでは自己防衛しかない
・うがい、手洗い、アルコール消毒、人混みは避ける、免疫力
の向上が必要
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