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私の本棚:エッシャーの宇宙
── エッシャーの宇宙
私の本棚を紹介します。
第10回は、エッシャーの宇宙を取り上げます。
上掲写真の通り、
ブルーノ・エルンスト 著「エッシャーの宇宙」です。第7回で取り上げたホフスタッターの「ゲーデル, エッシャー, バッハ」で紹介されたエッシャーです。
【解説欄】
▼エッシャーの宇宙
「エッシャーの宇宙」の原著は「The Magic Mirror of M.C. Escher by Bruno Ernst」です。
私がエッシャーの絵を初めて見たのはアメリカにいたときでした。当時(1968年)、アメリカのソフトウェア会社で共同研究を行っていたのですが、そのメンバーの一人スターンという男が、エッシャーの画集を「どうだ、凄いだろう」と言って私に見せてくれたのです。確かに凄かった。どう凄いかは見れば分かることですから、これ以上は言及しませんが。
今から思うと、その本は以下の「Magic Mirror of M.C. Escher」だったのではないかと思います(いろいろな版がありますが)(*1)。
Bruno Eranst “Magic Mirror of M.C. Escher”
【追記】(*1)「Magic Mirror of M.C. Escher」の完成は、1976年ですから、私が見た本はこれではないことが分かりました。この本が余りに有名になり、当時どのような本が市販されていたのか今となっては分かりません。もしかすると図録の類い(展覧会のカタログ)だったのかもしれません。(追記:2018-6-23)
私はその画集を欲しかったのですが、とても手を出せる値段ではありませんでした。そこで、昼休みの時間にスターンから借りて職場にあったコピー機で欲しい絵だけをコピーしたのです。当時コピー機というのは高価で、日本では手間がかかる青焼きコピー機(ジアゾ式複写法が使われていた)しか使えなかった時代です。その職場では、ソフトウェア開発に必須のツールとしてコピー機が有効に活用されていたのです。テクニカルライターと呼ばれる職種の技術者(大抵は女性)がいて、我々が作った手書きの資料を渡せばすぐさま電動タイプで清書してくれて、コピー機で大量にコピーしてメンバー全員に配布してくれるのです。まだワープロなど存在しない時代のことです。
そのコピー機としてゼロックス社のコピー機が使われていました。日本で使っていたコピー機とは桁違いに鮮明なコピーが即座に取れるので羨ましい環境でした。そのコピー機で少しずつコピーしてしまったのである。勿論全部ではなく印象に残る絵だけ10枚程度ですが。
後年、日本でエッシャーの本が出版されたので、そのとき購入したのがこの本「エッシャーの宇宙」なのです。
(表表紙)
(裏表紙)
私の好きな作品を以下に示します。本物を楽しみたければ M.C.Escher公式サイト を参照するとよいでしょう。
相対性
特に、少年と少女が眺める風景を下からと上からと双方から捉えて一つの絵で表現した「上と下」は、繰り返し見て楽しんだ記憶があります。素晴らしい作品ですね。
上と下
マウリッツ・コルネリス・エッシャー (Maurits Cornelis Escher) (Wikipedia から引用)
▼本の詳細
(1)「エッシャーの宇宙」:1983年7月15日 第1刷発行, 1986年10月5日 第9刷発行, ブルーノ・エルンスト 著, 坂根厳夫 訳, \2,900 朝日新聞社, ISBN4-02-255088-0
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