(28)
私の本棚:スコット・トゥロー
── スコット・トゥロー
私の本棚を紹介します。
第28回は、スコット・トゥローの本を取り上げます。
上掲写真で、右から順に、
(1)「死刑判決(上)」、
(2)「死刑判決(下)」、
(3)「無罪」、
(4)「出訴期限」
となっています(詳細は【解説欄】を参照してください)。
スコット・トゥローと言えばリーガル・サスペンスの分野で有名ですが、特に「推定無罪」という作品で作家デビューしたことはよく知られています。その世界的ベストセラーが、ここに登場しないのは何故か?! と言われそうですね。そうなんです。その作品を読んでスコット・トゥローの熱烈なファンとなった私ですが、今は私の手元にありません。行方不明なんです。
スコット・トゥローという作家は、元検事補であり法曹界で活躍する現役の弁護士だそうです。なるほど、細かい判例が物語の重要な場面で使われ、事件解決の鍵となっている場合が多いようです。
【解説欄】
▼死刑判決(上/下)
ある黒人に下された死刑判決に対して破棄事由となる誤りがあったかどうかをめぐり弁護側と検察側との間で熾烈な攻防が繰り広げられる緊迫感に満ちたサスペンス小説です。
原題の“Reversible Errors”とは通常「破棄事由となる誤り」と訳されますが、再審理している上訴裁判所が一審判決を無効にせざるをえないほどの重大な法的誤謬のことです。
( 死刑判決(上/下) )
▼無罪
前作「推定無罪」の続編です。前作では、サビッチが不倫関係にあった同僚の女性検事を殺したとして起訴されますが、最終的に無罪となる話が中心になっていました。サビッチはその裁判後、地方検事代行となり、その後裁判官に転じて今は州上訴最高裁判所首席判事となっています。次の選挙では州最高裁判事の当選が確実視されているのです。
この「無罪」は、前作発表から実に23年振りに書かれているのですが、物語の中での時間も23年後の出来事になっています。
( 無罪 )
▼出訴期限
上訴裁判所判事のジョージ・メイソンは、昔弁護人を務めた男のことで悩んでいる。裁判官に転身した今、罪を犯した人間をいわゆる時効によって一律に赦してもよいのか、逆に、重罪を犯した者は法の定める期限を超えても懲罰の対象となしうるのか、という問題です。
事件は1999年に起きたが、起訴は2003年で約四年が経過している。出訴期限は三年である。事件当時、意識をなくしていた被害者が2003年に初めて犯罪行為を知った、という事情がある。三人の裁判官の意見は一致せず、決断は彼にゆだねられたのです。
( 出訴期限 )
 スコット・トゥロー(Scott Turow) (Wikipedia から引用)
▼本の詳細
(1)「死刑判決(上)」(Reversible Errors): 2004年10月15日第1刷発行, スコット・トゥロー(Scott Turow)著, 佐藤耕士訳, 講談社文庫, 定価:本体 1,143円(税別), ISBN4-06-274866-5
(2)「死刑判決(下)」(Reversible Errors): 2004年10月15日第1刷発行, スコット・トゥロー(Scott Turow)著, 佐藤耕士訳, 講談社文庫, 定価:本体 1,143円(税別), ISBN4-06-274867-3
(3)「無罪」(Innocent): 2012年9月30日第1刷, スコット・トゥロー(Scott Turow)著, 二宮磬訳, 文藝春秋, 定価(本体 2,200円+税), ISBN978-4-16-381670-8
(4)「出訴期限」(Limitations): 2013年7月30日第1刷, スコット・トゥロー(Scott Turow)著, 二宮磬訳, 文藝春秋, 定価(本体 1,800円+税), ISBN978-4-16-382340-9
-------
(5)行方不明!!!!「推定無罪(上/下)」(Presumed Innocent) :スコット・トゥロー(Scott Turow)著, 上田公子訳, 文藝春秋, ISBN4-16-310490-9

|