私の本棚 FORTRAN IV
私の本棚
(37)

私の本棚:FORTRAN IV

── FORTRAN IV

 私の本棚を紹介します。

 第37回は、FORTRAN IV 関係の本を取り上げます。


 上掲写真で、右から順に、
(1)「FORTRAN IV WITH WATFOR AND WATFIV」、
(2)「Structuring FORTRAN 77 for Business and General Applications」

となっています(詳細は【解説欄】を参照してください)。

 私の書棚にはこの2冊が残されていました。なぜこれを買ったのか思い出すのにしばらく時間がかかりました。


 ( FORTRAN関係の本2冊 ) 

 私がコンピュータを使うようになった頃は、FORTRAN II の時代でした。日本語の参考書などない時代でしたからIBM社のマニュアルが最高の教科書となっていました。その後私は FORTRANプログラム言語の利用者から処理系(FORTRANコンパイラ)の開発者としての道をたどることになる訳ですが、その間ずっとIBM社のマニュアルのお世話になり続けました。したがって一般の書物としてのFORTRAN関係の本はほとんど持っていないのです。

 FORTRAN II の欠点は機種依存(*1)の部分が多かったことです。その点を改良したFORTRAN IV の時代になると、やっとプログラムの互換性の重要さが理解されるようになり標準化の機運が高まってきました。この過程で、各社のFORTRANコンパイラで機種依存の部分がどうなっているか知る必要が出てきました。
【注】(*1)インテル系プロセッサに事実上統一された現在では、命令体系が一つに統一されていますから機種依存の難しさを理解するのは容易ではないかもしれません。
 このような事情から、私は自分で勉強しようと思い (1), (2) を購入しました。

【解説欄】

▼「FORTRAN IV WITH WATFOR AND WATFIV」
 日本の各メーカーのFORTRANマニュアルはすぐ手に入ります。外資系メーカーのものも手に入りますが、カナダのウォータールー大学のFORTRANとして有名だった WATFOR(Waterloo FORTRAN)の情報はなかなか手に入らなかったのです。FORTRAN IV の時代になってWATFIV(Waterloo FORTRAN IV)と呼ばれるようになりましたが、その詳細を知ろうとして購入したものです。


 ( FORTRAN IV WITH WATFOR AND WATFIV ) 


▼「Structuring FORTRAN 77 for Business and General Applications」
 FORTRAN 77というのは、1977年に規格化されたのでこのように呼ばれていますが、構造化プログラミング(Structured Programming)ができるように新しい機能が追加されているFORTRANのことです。

 当時、分かりやすいプログラムを作るためには、プログラムの構造を明確にすることが勧められていました。そのために必要な機能として、ブロック(IF文END IF文)と多分岐(ELSE文ELSE IF文)の機能等が追加されました。


 ( Structuring FORTRAN 77 ) 


・ジョン・ワーナー・バッカス氏について
 ジョン・ワーナー・バッカス(John Warner Backus, 1924 - 2007)は、アメリカの数学者であり、IBMで最初にFORTRANを作った人とされています。形式言語の文法の定義に使われるバッカス・ナウル記法の発明者でもあります。


John Warner Backus
(SlidePlayerサイトから引用)


▼本の詳細

(1)Cress/Dirksen/Graham「FORTRAN IV WITH WATFOR AND WATFIV」 Prentice-Hall series in automatic computation: by Paul Cress, Paul Dirksen, J. Wesley Graham, Copyright (c) 1970 by Prentice-Hall, Inc., $6.95 ISBN-10: 0133294331

(2)Seeds「Structuring FORTRAN 77 for Business and General Applications」: by Harice L. Seeds, Copyright (c) 1981 by John Wiley & Sons, Inc., $17.95, ISBN 0-471-07836-0