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リケジョ
── 新しい造語は表意文字を用いて
“リケジョ”という言葉が流行っている。小保方晴子さんのSTAP細胞に関する研究成果が劇的に報道されて以後は、尚更話題になる機会が増えたように思う。
リケジョとは、理科系の科目を専門に学んでいる(あるいは、学んでいた)女性を指しているが、そういう経歴を持つ職業人(主に、技術者、研究者等)に対しても使われているようである。確かに、理科系の科目を専攻する女性は、比率的には理科系男子より数が少ないかもしれない。しかし専攻する科目によっては、女性の方が多い科目も存在するのではないかと思う。
世間では、将来の進むべき方向を「理系か」,「文系か」という二者択一で選ぶ傾向があり、女性は文系のコースに進むのが普通だと考える ある種の偏見のようなものがあるのだろう。それなら、文系に進む男子の数は少ないかというと、必ずしもそうとも言えない。そのためかどうかは知らないが、文系男子を“ブンダン”とか“ブンメン”とか呼んで特別視する造語は(私の知る限り、今のところ)存在しないようである。
リケジョという表現は、理系の女性を一括して表現できる便利な言葉だと思う。しかし、このようなカナ表現の4文字造語はどうもいただけない。初めて聞いたとき、直ぐその意味を理解できないからである。それに対し“就活”,“婚活”,“終活”などの造語は、使い慣れている“生活”という言葉から容易に意味を想像することができる。カナ文字だけの表現ではそうはいかない。日本人は漢字という表意文字を持っているのだから、新しい造語を作るに当ってはもう少し表現方法を工夫できるのではないかと思うのである。
以前、書道をやっていた母親から“妍”という字を教えてもらったことがある。女偏の付く字にはあまり良い意味がない。たとえば、“嫌”,“妾”,“姦”,“婬”,・・・
“嫁”という字にしたところで、“女”は常に“家”に居るものだという封建的な考え方から発する字なのである。しかし“妍”という字は違う。「けん」と読んで「女をみがく(磨く、研く)」という良い意味(*1)があるというのである。つまり、
(女 + 研) ⇒ ⇒ ![妍](images/妍2.jpg)
という漢字表現になる。
【注】(*1)ここで「良い意味がある」と記したが、一方で「男をみがく」という意味の(男 + 研)という字は存在しないのはなぜか。それは多分「男は自分をみがくのは当たり前」という考え方があるからであろう。つまり「女をみがく」のは特別なことなのである。嫁という字と同じように封建的な考え方が背後に見える、とも言える。
これを真似て、女偏の付く新しい漢字の造語を作ったらどうか。たとえば、リケジョは (女+理)系、つまり“ 系”あるいは一部簡略化して (女+里)(*2)系 とし、“ 系”と書いて表現するのである。
【注】(*2)(女+里)という文字は存在するが、表示できない(サポートされていない)場合もある。
たとえば、小説の中などで、
「ワタシ、 系なんですぅ〜」
というように書いて用いる。
「ワタシ、リケジョなんですぅ〜」
などと表現する女性はまずいないのではないか?
今や我々は、日本語ワープロを用いて文章を書ける環境にいるのだから、ちょっとしたアドインソフトを用意すれば、誰でも簡単にこういった漢字の造語を作れる時代になったのではないかと思う。
(男 + 理) ⇒ ⇒ (リカダン:理系男子を表す)
(女 + 理) ⇒ ⇒ (リカジョ:理系女子)
(男 + 文) ⇒ (ブンダン:文系男子)
(女 + 文) ⇒ (ブンジョ:文系女子)
(方 + 女) ⇒ (あなた:貴方(女))
(男 + 女) ⇒ (男女)
(女 + 男) ⇒ (男女:レディーファースト版)
貴方(女)も、… いや貴 かな、それとも貴 かな …(いやいや、レディーファーストの時代だから)貴 も(と書くべきかな)、…つまり
貴 も、挑戦してみては如何ですか?
![](/cgi-bin/user/skinoshita/Count.cgi?df=ct111.count)
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