素歩人徒然 書斎のテレビ simple is best シンプル イズ ベスト
素歩人徒然
(75)

書斎のテレビ


── simple is best

 最近、書斎で見るテレビをポータブルな物に入れ替えた。
 それまでは、パソコン1台でコンピュータ使用とTVを見るのとを兼用にしていたのである。コンピュータと兼用と言ってもワンセグのような解像度の悪い画面では満足できないので、普通のTVと同じ画質とサイズのものである。場合によっては、TV画面を小さくして(“ながら見”モード)コンピュータ作業を並行して行うこともできる。かねてから、そういう環境を構築したいと思っていたのでそれなりに満足して使ってきたのである。何と言っても、simple is best ですよ。

 不満があるとすれば、それはTV画面の立ち上げに時間が掛かることであろう。使っているOSの Windows Vista を立ち上げるのには勿論時間が掛かるが、それはレジューム機能を利用してカバーすることができる。しかし、更にTV環境の立ち上げにもかなりの時間を要するのである。書斎に入って直ぐTVを見たいと思ってもそうはいかない。決定的な場面を見逃してしまうこともあるのを覚悟しなければならない。

 “ながら見”では、普通はメールチェックとか簡単な作業しかやらないから問題はないが、段々と複雑で大掛かりな仕事を始めてしまうことがある。それなら“ながら見”など止めればよいのだが、もともと「ながら族」なのでそれができないのである。特にTV側で録画の指定をした時などは、コンピュータ側で大掛かりな仕事をはじめてしまうとレスポンスが悪くなるばかりでなく、録画された画面が跳んだりして画質にも影響してくることになる。

 これでは困ると思い、Windows 7 マシンが売り出されたのを機会に、もう1台コンピュータを購入してコンピュータ作業はそちらに移行させることにした。実は、意識的に移行させたのではなく、Windows Vista 環境より Windows 7 の環境の方が、はるかに使い勝手が良いので自然に使用環境が移って行ったというのが本当のところである。その結果、書斎の机の上は、左側に作業用コンピュータ、右側にTV用コンピュータという何とも贅沢(?)な環境になってしまった。大型の机なので2台を置いてもまだまだ余裕はあるが、エネルギー消費の面ではかなり無駄な使い方をしていると思う。システムの立ち上げに時間がかかるから、座を外す時などこまめに電源を落としたり、あるいは待機状態にしたりするのが普通であるが、それも面倒になってくる。つい、そのままにしてしまうのである。このエコの時代に、こんな電力の無駄づかいをしていてよいのだろうかという忸怩たる思いもあった。

 TV用コンピュータが一時故障して使えない時があったので、この機会にコンピュータとTVとの兼用をやめて、専用のTVを購入して使用することにしたのである。電力も専用TVならたいして掛からないし、見たい時には直ぐ電源オンできるのも良い。私の寝室にはTVを見る環境がないので、そちらで寝ながら見たい時は持って行ける程度のポータブルなものである。
 書斎で1台のコンピュータですべてを満たすという長年の夢は、実際にやってみると色々な問題があることを学んだ。物理的には、simple is best であったかもしれないが、機能的にはベストではなかったと言えよう。しかしこれで、機能的にも simple is best になったのではないかと思う。■