素歩人徒然 ハート曲線を作る 円からハートへの変身
素歩人徒然
(96)

ハート曲線を作る


── 円からハートへの変身

 先の素歩人徒然「ハート曲線」で、私が推奨するハート曲線の方程式なるものを紹介した。


しかし、変な係数が付加されていたりして決して美しい式だとは思えない。ハートの形状にしたところで、ハートの最下端の曲線部分の曲がり具合が、どうも私には気に入らないのだ。もっと先端を絞り込んでトランプのハートマークの様な美しいカーブを描けなければ本物のハートとは言えない。私はそう信じているのである。参考のために本物のトランプ(*)ハートのA(エース)を以下に示す。

【注】(*)トランプにも色々あろうが、これはカジノの本場ラスベガスにある“Harrah's Lake Tahoe”で、プロがブラックジャックに使用した正式のトランプである。カジノの規定により使用時間は20分から30分と制限されていて、使用済みのカードは厳しく管理され一般市場では滅多に手に入らない。それをアメリカで手に入れたものである。
  …などと書いて、私の主張の信憑性をそれとなく高めようとする魂胆である。

 さて、そういう美しい式を自ら発掘しようと試みることにした。前出の「円から出発してその一部を膨らませる」という方法を真似て、自分が好む形体のハート曲線をあれやこれやと捜し続けた。
 以下の図で示すように「膨張係数」というものを定義して円をY軸方向に少しずつ膨張させていって程良いハート形を得ることを繰り返すのである。「数打ちゃ当る」方式である。


その結果得られたデータから、膨張係数など使わなくても(つまり、膨張係数が1でも)そのまま理想的なハートマークが描ける究極の!ハート曲線方程式」(少しオーバーかな)が得られた。その式が以下のものである。


究極のハート曲線方程式

 どうです。美しい式でしょう。
 私は、少しずつ変形していって理想の形に近づいていく過程を記録として残したくなった。そこで、膨張係数を 0 から 0.1 刻みで 1 まで変化させることにより、円が膨張してハート形に変化する様子を見えるようにした(下図参照。ここでは、刻みごとに線の色を変化させている)。


 しかしこれでは変化の様子を想像することはできるかもしれないが、あまりリアルとは言えない。実際に動いている様子を見たくなった(正確には、見せたくなった)のである。その結果できあがったのが以下のものである。


ハート曲線ができるまでの過程

 何の説明も加えないで、作成者の意図がそのまま見る人に伝わるようにしたかったのである。どうでしょう、この最後の図だけで、すべてが分かってもらえたでしょうか。分からない? そりゃまた残念なことで…。

Knuhs (2012-8-28記)