近頃腹の立つことが多い。
迷惑メールの氾濫については何度もこの欄で記述してきたが、まだまだ怒りが収まらない。先に記したように(*1)万全の態勢で対応しているのだが、それでもときどきはその網をくぐり抜けてくる不埒なメール(*2)が存在するからである。ここでは、最近私が採用してきた“迷惑メール撃退法”について紹介することにしよう。
【注】(*1)【近頃腹の立つこと】欄の(3)(4)参照。
一日に受ける迷惑メールの数は、
(3)の頃は約20通、
(4)の頃は約40〜50通、
現在は約170〜190通である。
【注】(*2)一番やっかいなのは、発信者名と受信者名が両方とも私のメールアドレスになっている迷惑メールである。これを削除すると自分宛のBccメールが使えなくなってしまう。 |
◆以前使っていた撃退法
私のメールアドレスXskinoshita@hi-ho.ne.jp は、かなり昔、まだ迷惑メールなどというものがこの世に存在していなかった頃に獲得したものである。したがって無防備に、これをそのままウェブ上に公開してきた。当時はそれが普通だったのである。よく知られているように、最近ではウェブ上にあるアドレス情報を集めて売り買いの対象にしている輩がいる。それらの情報がスパマーによって迷惑メールの標的として利用されているのである。私のメールアドレスもその対象にされてしまっている。今更もがいても、どうすることもできない(だから私はこの文中に臆面もなく自分のメールアドレスを表記している。隠しても意味がない。もはや手遅れ怖いものなしという感じである)。
このような場合、そのメールアドレスを捨てて全く新しいものに変えてしまうのが最も賢明なやり方であろう。しかし私はこのアドレスに何となく愛着があり変えたくない。私のメールアドレスを利用してくれている友人・知人に、変更をお願いするのも気が進まない。そして何よりも、スパマーに利用されているこのメールアドレスが、この先どのような運命をたどるのかを知りたいという純粋に技術的な興味もある。
そんな、迷惑メールと格闘する日々が続いていたある日、私は偶然にも素晴らしい方法を発見したのである。
私のメールアドレスはプロバイダーが設立された当初に加入して獲得したものなので、アドレス表現にメールサーバー名を含まない非常にシンプルなものである。その後加入者が増え、以後はアドレス表記にサーバー名(らしきもの)が追加されるようになった。たとえばXskinoshita@xxxx.hi-ho.ne.jp のような表記に変更されたのである(私のものは変わらない)。私が偶然知ったのは、私のようなシンプルなアドレス表記の場合、それをシステムが解釈する際には内部的に“non”というサーバー名が省略されているものとみなして解釈されているらしい点である。つまり省略されたサーバー名を明示的に表記すればXskinoshita@non.hi-ho.ne.jp というメールアドレスが使えることになる。ここで私は、まったく新しいメールアドレスを一つ獲得したことになった。しかも旧アドレスはそのまま使える。最高ではないか。
この時点での私の迷惑メール撃退法はホワイトリスト方式になっていた。つまりホワイトリストに載っている友人・知人からのメールしか受信しないのである。それに加えてXskinoshita@non.hi-ho.ne.jp で送付されてきたもののみを受信し、Xskinoshita@hi-ho.ne.jp で届いたものは(発信者名がホワイトリストに載っていない限り)すべて迷惑メールとみなして削除してしまうことにしたのである。
私はこの方式に満足しつつ利用するうちに、誰かに自慢したくなった。しかしスパマーに知られたら元も子もなくなるので黙っているしかない。それに、これは誰にでも利用できる方法ではなかったから、あまり参考にはならないであろう。それをここに公開するということは、そう、もはやこの方法は使えなくなってしまっているのである。
あるとき、毎日定期的に届く天気予報や列車遅延情報のメールが全く届かなくなっていることに気がついた。おかしいと思い調べるとXskinoshita@non.hi-ho.ne.jp 宛のメールがすべて届いていなかった。早速プロバイダーに問い合わせると、最近のシステム変更の影響らしいという。結局すったもんだの末に“non”は使えなくなってしまった。プロバイダーも知らなかったこの方法は、やはり限界があったのである。私にとっては理想的な撃退法も、この時点で使えなくなってしまった。
◆簡便な撃退法
私は再び、もっと確実な撃退法を求めて研究を重ねることになった。
いろいろと撃退法を試していると、警備が過剰になって本来受け取らねばならぬメールが削除対象になってしまうことがある。そうなると思いきった試行テストができないので、私は普段のメール受信は一時的にもっと簡便で安全な撃退法に切り換え、それとは別の環境でテスト試行することにした。
それにはGmailを利用することである。前々から気が付いていたのだが、Googleのメールシステムは大変よくできていて、迷惑メールの検出能力に優れているようである。そこで、私は自分へのメールはすべて(正確には1つのアドレスを除いてすべて)Gmailへ自動転送されるように設定した。一方Gmailには、Gmailシステムによる迷惑メール選別機能を経て残されたメールボックスの内容を、すべて再び私のアドレスへ自動転送するよう設定する。このときに使うアドレスは、もちろん先に自動転送を設定したアドレスとは別のものでなければならない。迷惑メールの標的になっていないきれいなアドレスでなければならない。外部に公開していないアドレスがもしあれば、それを利用するとよい。あとは、このGmailルートで受け取ったメールを、各アドレスの本来のメールボックスへ振り分ける設定をして、簡便な撃退法の完成である。
◆私の発見した秘密の撃退法
さて、本論にもどろう。Xskinoshita@non.hi-ho.ne.jp というアドレスが使えなくなってから、私がつらつら考えたことは、本来メールアドレスには飾り(modifier)を付ける機能があればよいのに、というものであった。本来のメールアドレスのつづりの中に意味のない飾りを挟み込めれば、迷惑メールの排除が極めて容易になる。
たとえば、
Xskinoshita@hi-ho.ne.jp という正規のアドレス表記に対して #NanjaMonja# という飾りをつけて
Xskinoshita@#NanjaMonja#hi-ho.ne.jp のように書く。
メールシステムはこの飾り部分を無視してくれればよいのである。
これが許されれば、新たなメールアドレスを発行してもらわなくても自分で好きなつづりのメールアドレスを作れることになる。
迷惑メール削除システムでの指定も簡単になる。宛先に記されているメールアドレスの文字列を確認して指定の飾り付きのアドレスを使ったものだけを受信し、あとは削除してしまえばよいのである。そうすれば、迷惑メールの標的にされたからと言って、いちいちメールアドレスを変更したりしなくても済む。飾りだけを適当に変更すれば、文字列検索で新しいメールアドレスを指定したのと同じ効果が得られるからである。
本来、メールシステムでは飾りが許されている。たとえば、
<Xskinoshita@hi-ho.ne.jp>
木下恂<Xskinoshita@hi-ho.ne.jp>
"木下恂"<Xskinoshita@hi-ho.ne.jp>
などの記述ができる。しかし迷惑メールの検索では "Xskinoshita@hi-ho.ne.jp"という文字列の中に飾りを書けなければ意味がない。文字列の前後に付けられるという程度では役に立たないのである。もちろん、フルスペックの正規表現が使えれば、そういう記述を検出することはできるが普通の迷惑メール削除システムではサポートされていないのが普通だからである。
私はメールアドレスに、こういった飾りを付けられないものかといろいろと工夫と研究を重ねてきた。任意の飾りは付けられないにしても、何か表示を変えて特徴を持たせることはできないものだろうかと考えたのである。そして、永い永い努力の末に、遂に私は飾りをつける方法を発見したのであった。しかし残念ながらそれをここに記すことはできない。公表すれば、すぐ様スパマーの知るところとなり、その効果がなくなってしまうだろう。この方法ではまだ任意のつづりを許すことはできないからである。私が発見した方法は、とりあえずのテストではうまく動作しているが、すべてのメールシステム(各種のメイラーソフト、および各種のプロバイダのシステム)でもうまくいくのかは検査確認されていない。これから少しずつ友人・知人の力も借りながら確認していきたいと思っている。
この文章を、私からのメールで受信した人は、その秘密の一部分(ちょっと大げさですね)に触れることができる。関心のある人は自分の周辺でテストし、この方式に不具合がないかどうかを調べてほしいと思う。そして結果を教えていただければ幸いである。未知の人からの問い合わせには、多分、応えられないと思う。赦されよ。■
追記:
具体的な方法は【超・極秘欄】の[自己アドレス迷惑メールを撃退する方法]に掲示しました。(2009-3-1)